・ローダウンスプリング SJ (PROVA)
SJは最低地上高が220mmもあります。
このことは、SUVらしい外観や見晴らしの良さに繋がっています。
では、このような車高の高さが売りの一つである車に対して、ローダウンスプリングを組み込む必要性はあるのか?
走破性能の点から考えれば、車高を下げることは改悪にしかなりません。
一方、コーナーリング性能の点から考えると、重心が下がることになるので改良になります。
見た目の点からは、車高が低い方が格好イイかな。
WRXやレガシィとは違い、SJのローダウンスプリングの設計は、ダウン量をどの程度に設定するか落としどころが難しそうです。
それに、SJGの足周り、特にダンパーの出来は良いと聞きます。
純正ダンパーを使いながらイタズラに車高を下げることは、コーナーリング性能を却って悪化させかねません。
これは各々のアフターパーツメーカーの個性やコンセプトが現れるので、興味深いところです。
僕の知る限り、SJ用のローダウンスプリングの先陣を切ったのはRS-Rでしょう。
HPによると、ダウン幅はフロントが35〜30mm、リヤが45〜40mm。バネレートは4.29kg/mmという設定です。
これはかなりのダウン量で、HPの写真を見ると明らかに車高が下がっていて、SUVっぽさが薄れています。
では、スバル専門チューニングショップの老舗、PROVAはどのような設定にするのか。
実は、ローダウンスプリングの開発車両として、tara号を提供しました。
これは試作品を装着した状態です。
ダウン量は、フロントが30mm、リヤが18mmでした。
フロントはかなりダウンしていますが、リヤがそれ程でもないために前のめりな感じになりました。
フロントについては予定よりも下がり過ぎたそうです。
乗り心地の悪化はなく、PROVAの製品らしく純正をより良い方向に導くようなセッティングになっているように感じました。
こちらは正規品を装着した状態です。
実際のダウン量は、フロントが20mm、リヤが15mmでした。
PROVAのHPによると、ダウン量はフロントが17mm、リヤが10mm。バネレートはフロントが4.17kg/mm、リヤが4.38kg/mmという設定です。
メーカーの謳い文句は以下の通りです。
「高品質のスプリング専用鋼材を使用し、さらに入念に後処理を行うことで、長期間使用しても経年劣化、いわゆるへたりや縮みが発生せず安心して使用できます。またスプリングの巻きピッチの狭い部分には、防音ラバーを標準装備、低速時に発生し易い接地音を低減させています。開発に当たり徹底的に実走行テストを行うことで、純正ダンパーとのマッチングに優れた最適なレートを設定、同時に充分なストロークを確保しながらローダウン量を決めています。優れた乗り心地とスポーティなハンドリングを味わう事ができ、適度な車高ダウンにより車両のルックスを引き締めます。」
純正とPROVAを比較のために並べてみます。
撮影条件が異なり、純正の写真の方がタイヤハウス内に日光が入り込む条件のため、純正の方が余計に車高が高く見えますね。
ダウン量を控え目にしているところは、PROVAの良心を感じる部分です。
純正ダンパーとの相性は良いようで、試作品と同様に乗り心地の悪化はありません。
僕は高速道路を多用するのですが、高速巡航中やレーンチェンジの安定感が高いです。
SJGで峠を攻めることはありませんが、スプリングを交換したことによってコーナーリングが更に安定したような、そんな気がします。
車高を下げることによってアイサイトの制御に影響が出ることが心配されます。
しかし、この程度のダウン量であれば問題はないようで、全ての機能は正常に作動しているようです。
プリクラッシュブレーキを試すことは出来ませんが・・・。
さて、最初の命題。SUVにローダウンスプリングを組み込む必要性は?
純正+αの質の高い足周りを求めるのなら、PROVAのスプリングは良いと思います。